読書と映画の記録

読書と映画の記録です

チェコの民話に着想を得た映画、『オテサーネク』を見ました。

チェコの民話に着想を得た映画、『オテサーネク』を見ました。

 

不妊に悩む夫婦。夫は妻の気休めのために、別荘を購入する。別荘の庭を整備している最中、赤ちゃんっぽい木を見つけた夫は、ニスを塗って、妻にプレゼントする。妻はそれを、本当の子だと思い込む。

夫はなんとか妻を言いくるめて木の赤ちゃんを隠そうとするが、妻はあっという間に『懐妊した』とまわりにいいふらし、『赤ちゃんができた』ということを隠すことが難しくなってしまう。

同じアパートに住むマセた少女は、やけに赤ちゃんに興味を持っている。そして、あっという間に赤ちゃんが生まれる時期が来てしまい…。

 

このマセた少女が個人的にすっごく好きで、『好奇心旺盛で影響されやすく、聡明だけれど無知』という創作における少女という時代の良さを十二分い発揮したキャラクターだと思いました。

少女にバレてしまう、少女が次は何をするのか…と、少女のおかげで全編に渡って緊迫感がすごいです。が、びっくりさせてくるタイプではなく、ゆっくりじわじわとゾワゾワするタイプのホラーです。音の気味の悪さも良くできているので、ヘッドホンでぜひ。

 

オテサーネク (字幕版)

オテサーネク (字幕版)

  • ヴェロニカ・ジルコヴァー
Amazon

 

以下、ネタバレ感想。

 

続きを読む

『マガディーラ 勇者転生』をみました

ちょっとイマドキの小説みたいなタイトルですが『勇者に転生』ではなく『勇者が現代に転生』の方です。

 

400年前に悲しい別れを告げた2人が現代で生まれ変わってまた出会う…のですが、『なんか運命』を感じつつも、思い出してはない2人。そんな中、覚えてる方の悪役がちょっかいだしたりして、その過程で過去を思い出し…。

 

という、ストーリーとしてはかなりシンプルです。インド映画らしいノリの良さがあって、シンプルなストーリーでもキッチリ楽しめるようになってます。乗馬から車を吹っ飛ばすシーン・ヘリから身を乗り出すシーン・炎の向こう側から主人公がやってくるシーン、なんでもアリです。

2009年の映画なのでそこそこ古い映画ですが、この映画を作った監督がRRRを作るようになるんだ…!と思うとなんだか『変わらなくてよかった点』と『変わってよかった点』が両方見えて面白いです。

戦闘の時代があるので槍が胸に刺さったりしますが、そういうのが大丈夫な人はぜひ。

 

 

続きを読む

『きっと、またあえる』をみました

『きっと、またあえる』を見ました。

ちょっとしんみりして終わる映画が続いたので、インド映画ならちゃんと気持ちよく終わってくれるはずだ…!と信じて視聴を開始。大当たりでした。激推しするような何かがあるわけではないですが、良い週末で終わりたい時にオススメの映画です。

 

ストーリーとしては『受験に落ちて超落ち込んでる息子を、両親とその友人たちが慰める話』なのですが、大学生活・友情・家族愛がちょうどいい感じにミックスされています。

きっと、またあえる(字幕版)

きっと、またあえる(字幕版)

  • スシャント・シン・ラージプート
Amazon

 

続きはネタバレ感想。

 

続きを読む

アフリカン・カンフー・ナチス

悲しい映画を見たので次は面白い映画を見ようと思って選んだのですが、ちょっと面白いというか冷静にツッコミまくりたくなる映画でした。笑える感じではないです。

 

ストーリーは『ヒトラー東条英機が実はガーナで生きていて、なんか横暴してる』みたいな感じです。そこからまずツッコミどころが多いんですが、ガーナ人の字幕が全部関西弁だったり、謎のツッコミどころだらけです。

 

 

以下ネタバレ感想。

続きを読む

スウィング・キッズをみました

スウィング・キッズを見ました。

ジャケットがかなり明るめなので明るい映画だと思ってたんですが、かなり怒涛の展開でした。

時は朝鮮戦争の時代、アメリカ人と朝鮮人捕虜がタップダンスを一緒にやる話。これだけ聞くととても明るい話に聞こえるのですが、踊っていても戦時下は戦時下。戦争中というであること、彼らのダンスを率いるアメリカ人が黒人であること、ダンスメンバーの中に戦争の英雄の弟がいることなどから、簡単には楽しくダンスは踊れません。

 

 

続きはネタバレ感想。

 

続きを読む

BEASTARSを全巻読んだ

気づいたら完結してたので、全部読んでみました。

主人公であるハイイロオオカミのレゴシが繰り広げるてんやわんやなんですが、ストーリーも良いのですが、個人的にとても好きなのが彼らの生態について。動物をベースにしつつ人型となっていますが、元々動物だった頃の色々も残っててとても面白いんですよね。なので生態好きポイントをひたすら語っていこうと思います。

 

 

好きポイントがストーリー絡みなのでネタバレしかないよ

 

続きを読む

多様性はなぜ必要なのかを改めて考える - 『多様性の科学』よみました

多様性の科学を読みました。

表紙が目立つのでなんとなく手に取ったのですが、『CIAはなぜ、911を防げなかったのか?』に始まる、興味深い本でした。

 

人は人を採用するときに自分に似た人間を採りやすいといいます。CIAも例にもれず、『キリスト教の白人男性』が多い集団でした。彼らにとって説得力があるのは、王様のような『荘厳なところで演説をする人』です。なので、『薄暗い洞窟で演説をする人』に人を動かす力はないだろう、と思っていたのです。

これが、当時のCIAが911を防げなかった原因だそうです。『薄暗い洞窟』は、イスラム教にとっては、仏教における菩提樹の下のようなものでありました。しかしながら、キリスト教の集団であるCIAにはその背景が伝わらなかった。

 

このような感じで、『組織の多様性が少なかった、あるいは、多様な意見を発言しづらかったことによって起きた色々』について色々解説されます。

多様性の少なさだけでなく、航空機のコックピットや登山を例として『権力勾配による発言しづらさによって発生した失敗』や『特定の属性の集団に所属することによるエコチェンバー現象による影響』などの話がされます。

このへんは自分がそうなってしまっていないか、定期的に考えたい事象ですね。エンジニアは結構エコーチェンバーなりやすい気がします。人口多いし、エンジニアの中でも結構多様性あるのでそれで多様性が担保できてると思っちゃいがちなんですよね…。

 

また、この本の中で『創造的なアイデアとは、多様な人々の交流の中から生まれる』という話があります。アイデアというのは突拍子もないものではなく、『アレとコレをかけ合わせたらいい感じかも!』というところから生まれることが多い、と。

アメリカにおいては移民が起業する割合が多く、これは『移民は元の文化を持ちながら、移動先の文化に溶け込む必要もあるため、その過程で融合・気づきが起きるから』と著者が分析しています。確かに、各国のチャイナタウンは中国本土とやや異なる性質を持つことが多いですが、これは『各国に溶け込んだ結果』なのかもしれません。

 

結構厚くて難しい本なのですが、本の理解の手助けになる動画もはっておきます。私は普段聞いてる動画なのですが、途中の航空機・登山の事例については事前にゆっくり解説で予習してあったので助かりました。読むよりも聞く方が楽な方はぜひ。

 

ゆっくりヒコーキちゃんねる - YouTube

ゆっくりまうんてん - YouTube

 

---

 

私の母はタイ人ですが、『レジがわかんない;;;』と嘆いて帰ってくる時が最近あります。『しゃべってくれるレジはわかるけど、しゃべんないレジむずかしい』と。ここでいうしゃべるレジは対人のことではなく、レジに音声がついてるかどうか、です。漢字は読めなくても、日常会話はできるので、音がついてるとわかるんですよね。

母は漢字が苦手な例ですが、視覚が弱い人も音声があると助かるのではないでしょうか。

 

システムを作る時、つい『自分の属性に近い人』を考えてしまいがちですが、それだけではないものを考えられるように気を付けていきたいですね。個人的によく課題だなあと思うのが高齢者でも使えるシステムなのですが、そもそも画面&マウス自体が高齢者向きではない気もしていて、音声UIももう少し研究してみたい気持ちがあります。