読書と映画の記録

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チェコの民話に着想を得た映画、『オテサーネク』を見ました。

チェコの民話に着想を得た映画、『オテサーネク』を見ました。

 

不妊に悩む夫婦。夫は妻の気休めのために、別荘を購入する。別荘の庭を整備している最中、赤ちゃんっぽい木を見つけた夫は、ニスを塗って、妻にプレゼントする。妻はそれを、本当の子だと思い込む。

夫はなんとか妻を言いくるめて木の赤ちゃんを隠そうとするが、妻はあっという間に『懐妊した』とまわりにいいふらし、『赤ちゃんができた』ということを隠すことが難しくなってしまう。

同じアパートに住むマセた少女は、やけに赤ちゃんに興味を持っている。そして、あっという間に赤ちゃんが生まれる時期が来てしまい…。

 

このマセた少女が個人的にすっごく好きで、『好奇心旺盛で影響されやすく、聡明だけれど無知』という創作における少女という時代の良さを十二分い発揮したキャラクターだと思いました。

少女にバレてしまう、少女が次は何をするのか…と、少女のおかげで全編に渡って緊迫感がすごいです。が、びっくりさせてくるタイプではなく、ゆっくりじわじわとゾワゾワするタイプのホラーです。音の気味の悪さも良くできているので、ヘッドホンでぜひ。

 

オテサーネク (字幕版)

オテサーネク (字幕版)

  • ヴェロニカ・ジルコヴァー
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以下、ネタバレ感想。

 

 

いやあ、わたしこれめっちゃ好き。

元々伝承・民話系ホラーが好きなのはあるんですが、良い民話系ホラーでした。

 

全体的に音の気味の悪さが本当に好きだなあと思って、最初から音が気味が悪いんですよね。そして少女家の食事、少女も父もクチャラーってほどではないんですが、音をたててごはんを食べるタイプ。それがなんか、ゾワゾワするんですよね。不快っていうよりは、『不安を感じる』んですよね。嵐の前の静けさみたいな。音の扱いが本当に上手い映画だなーと思いました。

 

そしてやはり少女のキャラが良いんですよね。大人ではなく、少年ではなく、少女だからこそできる『聡明さと無知さの両立』が本当に好きです。そしてこの年齢だからこその影響されやすさ、流されやすさ。とても良い。

少女の後半の話は本当に好きです。後半あの流れになるのは『少女』という、柔軟な年齢だからこそだと思うのですよ。

 

そして後から考えると、旦那のことが地味に好きです。チェコ語なのもあってか、旦那のガチギレがかなり怖く聞こえて、いつ旦那が妻を殺すかドキドキしていたんですが、そんなことはありませんでした。というか、最初の最初で妻の言いくるめに失敗してたり、そんなに俺様系ではないのですよね。思い返すと、『なんだかんだでこいつ、優しいじゃん…?』ってシーンが多かったので、こういうストーリーでなければ普通に優しい旦那さんだったんだろうな、と思います。

 

オテサーネクの民話自体については、鑑賞後に知ったのですが…民話を読むと、この映画のこの先は二択あると思うと、どっちなんだろうな~~!っていう話を色んな人に聞いて回りたい気持ちでいっぱいになります。

こういう結末(のその後)はどっちなんだろうな~!って思う映画も好きですが、人と話したい、でもこの映画を万人におすすめできない~~><!ってことが多くてやきもきしますね!!

 

でもオテサーネク自体はすごい怖いホラーって感じではないので、多少ホラー耐性ある人にならオススメできる映画です。ぜひ多少ホラー耐性のある友人知人を誘って見て、民話について調べて、結末はどっちかな?を話してみてください!