20を超える品々を盗んだ怪盗ゴディバ、それを追う探偵ロイズ。主人公である少年リンツのまわりでは、探偵ロイズはみんなの憧れだった。父に渡された『ある品』が少年リンツを探偵ロイズとつなげ、冒険に導いていく…………!
という、児童書のようなあらすじ。
乙一を期待してくると、『あれっ』となるかもしれません。ダークな雰囲気はかなり薄く、全体通して児童書…………かな……?という雰囲気で進んでいきます。漢字の使い方も児童書っぽいので、著者名が違ったら乙一さんだと気づかないかも。
ただ児童書っぽいと侮るなかれ、最後の結末への導き方は『やっぱりさすがだ!』と思われるものがあります。文体が児童書っぽいので軽く読めますし、児童書っぽいけど話は大人っぽさもある、そんなお話です。
以下ネタバレ感想。
登場人物の名前がチョコなのですごい覚えやすいんですよね。元々カタカナ名覚えるの苦手なんですがすぐに覚えられました。
乙一なのになんか児童書っぽかったので『作中作ではないか』とか『ここから突き落とされるのではないか』とか疑ってたんですが、そんなことはなく。普通にストレートに面白い作品です。
乙一のすごいのは伏線が本当に伏せてるんですよね。これ伏線っしょwって思ってもないものが後で『あそこはそういうことだったのか~~!!』って明かされる。爽快感すごいです。『どんでん返し』じゃなくて、『真実が明かされる』んですよね。
--- 反転ネタバレここから---
登場人物の名前がチョコであったり、児童文学っぽかったり、それらの舞台設定すらも『油断を誘うための舞台装置だったのかもしれない』と思えて、めっちゃやられた~~><!って思います。めちゃ気持ちよかった。
--- 反転ネタバレここまで---
最初読み始めた時は本当間違えた本を開いたか!?と戸惑ったんですが、本当にしっかり良い本でした。おやつとともにぜひ!
そういえば登場人物のひとり、『ドゥバイヨル』、聞いたことないチョコだな~と思ったら2022年に日本撤退してしまったんですね…………もうちょっとはやく知っていれば1回食べてみれたのに…………。