読書と映画の記録

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母によるゲイバー再生物語、ステージ・マザーを見ました

あらすじからして面白そう!と思ったのでステージ・マザーを見てみました。

 

ある日突然届いた息子の訃報。悲しみながら葬儀に行くと、そこは葬儀なのに踊り歌う不思議な光景。どうやら、息子はゲイバーを経営していて、自身もドラァグ・クイーンとして活動していたらしい。

ゲイバーの共同経営者であった息子の恋人『弁護士にいったら、自分は近親者じゃないから、何もできないってさ。売るなり何なり好きにしなよ』とちょっとやけっぱち。母『とりあえず2か月、経営してみましょう!』とまさかの発言。

しかしそのゲイバーは経営不振でつぶれかけ……。母はゲイバーで行われてるショーをリニューアルすることで、経営再建を目指す…!

 

という、話。母は普通の既婚者なので最初はゲイたちも心を開かないのですが、そこは母の腕の見せ所というか、母らしい包容力でゲイたちと親密になっていきます。

ゲイバーのショーはいわゆる『ドラァグ・クイーン』と呼ばれる人たちが演じる口パクのショーなんですが、母のリニューアル後、すごい面白いです。好き。ラストのショーもすごい好きです。

 

全体的に口はお下品なのですが、話としては結構ストレートに良いので土曜の夜におすすめです。話の中でも土曜の夜がメインなので、土曜の夜にぜひ。

 

 

以下、ネタバレ感想

 

 

 

本当にストレートに良い話なんですよね、

つぶれかけのゲイバーを再建する物語でもあるんですが、

ちょっと心が不安定で自暴自棄気味で引っ込み思案なゲイたちを、母が手伝って元気にさせて、そして自信をもってショーをしてもらう。

 

ただずーっとひかかってるのは、母の息子はもういないんですよね。

息子の恋人も『母が来てくれるまでは、結婚しない!』って息子がいってたと言っているし、母がもっとはやく来てくれれば、息子には違う人生があったのに…と思ってしまいます。でも、起きたことはもうしょうがない、そうなのかも。

話の中でも『長年、口をきいていない母とゲイの息子を和解させる話』があるんですが、あれは彼女だからこそ、母の方を説得できたのかもしれません。

 

息子の死について、あまり悲しみを表現しない母でしたが、ゲイバーの再建でそれどころじゃないのもあっただろうし、ゲイバーの再建を通して、ゲイたちを救うことを通して、母も救われてたのかなあと思います。

 

ゲイバーのショーの変わり方も好きで、ある意味で『ゲイではない、ゲイの文化に染まってない母でないと起きなかった変化』だと思うんですよねあれ。ドラァグ・クイーンといえば口パクがド定番。それを『自分たちで歌いなさいよアンタたち!』って、たぶんゲイの文化外の人間だからこそ言えたことだと思います。

ゲイたちだって自分で歌いたいと望んでたのに、今までやらなかったのは『そういうもん』だと思っちゃってたからだと思うんですよね。

 

最後のショーの展開も好きで、なんかもうああいうのに弱いというか……あれが刺さる人、結構いると思います。あの母にしてこの子あり。そして、母のひとつの区切りで、昇華なのかな、と思いました。

 

土曜の夜に良い話です。ぜひ。