フォロワーさんに『吹替の声がいいのよ~』って聞いて気になってたブレット・トレインがAmazonPrimeで配信されてたので見てみました。
主演はブラッド・ピット。原作は伊坂幸太郎の『マリアビートル』。
伊坂幸太郎作品の映画化の主演がブラッド・ピット、とだけ聞くと謎な感じしますが、原作からガッツリとアレンジされているので、しっくりくる仕上がりになっています。
舞台はサイバーパンクJAPAN。新幹線っぽいけど、ファーストクラスのある夜行っぽい列車。ブラッド・ピットが演じる何かと不運な主人公は『目的の鞄を盗んで降りるだけ』という簡単な依頼を受けます。が、さすが不運な主人公。簡単には終わりません。次から次へと不運に見舞われ、殺し屋の集う列車の中で色々な事件に巻き込まれていく…。という、あらすじだけ見ると『なんて適当な……』って感じですが、スピード感よくて良い映画です。
吹替も良いですが、聴覚情報という点では音楽もとても良いです。奥田民生だったり、女王蜂のアヴちゃんだったり、昭和歌謡のアレンジだったりします。映画見終わってすぐサントラ探したくらいには音楽が良いです。ちなみにサントラはAppleMusicの場合はbullet trainと英題で探すと見つかりますのでぜひ。
そんなあらすじが不思議で、舞台も不思議で、音楽が良くてスピード感も良い映画です。ぜひ。
ちなみに原作のマリアビートルも読むとアレンジ力すごいな……って気持ちでいっぱいになれます。活字も好きな人にはマリアビートル→ブレット・トレインの順番がオススメです。
以下ネタバレ感想
舞台の『アメリカ人の想像するサイバーパンクJAPAN』感がとても良いんですよね~~~!
日本刀とか、夜叉っぽい仮面とか、和服のおじさまとか、謎のゆるキャラとか、いい感じにアメリカ人の想像するサイバーパンクJAPANです。輝度も高め。車両も新幹線が多分ベースだと思うのですが、ファーストクラスあったりバー車両あったり、ちょっとファンタジーです。
そんなファンタジーJAPANの中にも『米原』が存在することがちょっとほっとします。
登場人物も、全員ちょっとメンタルに不安定な面があってすごい良いんですよね。『無敵の殺し屋無双大会!』ではなくて『ぴえんな殺し屋ぶつかり大会!』なんですよね。
主人公のブラッド・ピットはセラピー受けてるし。トーマスの話ばかりするレモンは『メンタル的に実は不安定なのを機関車トーマスによって支えられている』と思ったのですが、どうなんでしょう。純粋に好きなだけかもしれない。他も結構切羽詰まってたり、悲しい過去があったり、キャラ全体的に好きです。
あと音楽がサイバーパンクJAPANにいい感じにマッチしてて本当に好き。holding out for a heroのアレンジがイチオシなんですが、謎のゆるキャラのモモもんの音楽も地味に耳に残って好き。モモもんソング、いい感じに『日本の朝のテレビ番組のゆるキャラコーナーにありそうなBGM』なんですよね。上手い。
ちなみにholding out for a heroは原曲も良い。
ストーリーは登場人物がちょっと多くて人の顔と名前覚えるの苦手な人間にはちょっと情報過多だったかも…感がありましたが、スピード感という意味ではこれで良かったのかも。相関図にした時の登場人物の矢印、ネットになりすぎなんよね。
ちなみに私はブレット・トレインを見てからマリアビートルを読みましたが、どちらかといえば『マリアビートルを読んでから、ブレット・トレインを見る』の方がオススメかも。
元の小説も良いですが、やっぱ映像と音楽ついてる方が面白く感じてしまう感はあり……。映像の出来がいいだけに、映像→小説の順序だと、ちょっと寂しいな、という感があります。でも、小説は小説で結構差分あるので楽しいので活字好きなら読んで欲しい。そして『アレンジ力、やべーな……』と思ってほしい。
そんな一作です。ぜひ小説・映画どちらも楽しんでください!