読書と映画の記録

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小説

ジビエを巡る、おいしいだけじゃない、葛藤の物語 - 『みかんとひよどり』感想

ふしぎなタイトルだなあと思ったら、ジビエの本らしいので読んでみた。 ジビエのシェフの亮と、猟師の大高の物語。 シェフの亮はジビエ肉の調達にもこだわりがあり、自分で調達すべく、山に猟に入るが、遭難しかけてしまう。そんなところを救ってくれたのが…

理知的で、不器用で、やさしいひとたち。

月のこと、雪の結晶のこと、地球温暖化のこと、素粒子のこと、地層のこと。 それぞれに詳しい、理知的で不器用な人たちとのふれあいを通して、すこしやさしい気持ちになれるお話。 どのお話も良いお話なのですが、個人的に1番お気に入りなのは『エイリアンの…

『調律師』は、何を目指せばいいのだろうか - 羊と鋼の森をよみました -

羊と鋼の森を読みました。とある山育ちの少年が、調律師に出会い、魅せられ、調律師となり、そして『調律師として何を目指していくか?』を見つけるまでの物語。 調律師と隣接する仕事であるピアニストであれば『こういう音色のピアノを弾けるピアニストにな…

宗教とは何のためにあるのか、を考えさせられる話【スリーピング・ブッダ 感想】

※ この記事には、宗教に関する内容が含まれています。 寺の跡取りである広也と、バンドを挫折して僧侶の道に進んだ隆春。対照的な2人が、同じ寺で修行に入る。個性豊かな同輩、先輩に出会い、修行の中で2人はお互いを理解し、仏教への理解を深めていく…とい…

儚い羊たちの祝宴 感想

儚い羊たちの祝宴読みました。 良家を巡る不思議な物語。つながっているような、つながっていないような、話たち。 良家の人々なのでどの話もお上品にはじまるのですが、だんだん雲行きが怪しくなる。いえ、最初から『ちょっとヘンだな』と思うのですが、凡…

少年たちと探偵と怪盗を巡る甘くてほろ苦い話、『銃とチョコレート』を読了しました

20を超える品々を盗んだ怪盗ゴディバ、それを追う探偵ロイズ。主人公である少年リンツのまわりでは、探偵ロイズはみんなの憧れだった。父に渡された『ある品』が少年リンツを探偵ロイズとつなげ、冒険に導いていく…………! という、児童書のようなあらすじ。 …