読書と映画の記録

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死の商人の物語、『ロード・オブ・ウォー』を見ました

死の商人の物語、『ロード・オブ・ウォー』を見ました。

 

楽しい要素はない、淡々と武器商人のユーリが武器商人になるきっかけからその先を描かれる物語です。

ソビエト時代のウクライナから亡命してきたユーリと弟と両親。ユーリはあるキッカケで銃に目覚め、武器商人となる。ユーリは弟を相棒にし、仕事を隠して妻を得て、子も得る。しかし、国際的な警察組織の捜査官バレンタインに怪しまれて目を付けられてしまう。

 

という話。最後の文字がとても印象的で切ない。

時代を相まって色々考えさせられるお話でした。話はまとまって良い映画です。

 

 

以下、ネタバレ感想。

 

 

最後の『安保理常任理事国が武器輸出国』というのは、とても考えさせられるものだなあと。安全とは何だろうか、と悩ましくなりますね。

ただ、『弱いものに武器を渡さない』を選択してしまえば、すでに武器を持っている側に蹂躙されてしまうし、すでに武器が広まってしまったこの世界では武器商人や弱き者に武器を渡すことが必要なことである、というのはそうなのかもしれません。

 

『駆け上がってるようで駆け下りてる』がぴったりな映画だな、と思いました。

 

かなりせつない人生となる弟ですが、兄が彼を誘わなかったら、とは思わずにはいられません。途中で兄が『俺は弟のことをわかってなかった』というセリフが入りますが、本当にそう。弟は兄よりも人情派で、武器商人には全く向いていなかったタイプだなと思います。せつないよ。

 

そして妻のこともそう。妻を『手に入れた』という表現がぴったりな手に入れ方ですが、妻に事実を打ち明けられなかったこと、その時点で彼の人生はだいぶ歪んでいたのかもしれません。もし妻に打ち明けていたら、妻が彼を止めていたら。嘘からはじまった夫婦、最後までずっと嘘だった、そんな気持ちになります。

 

なんとなくですが、彼も本当はやめたいんじゃないかな、という気がします。

でも、自分のせいで弟も失って、そして妻と子も離れていった今、彼にはもうやめる理由もなくて。最後はなんだか、そんな寂しさを感じます。個人的には弟の人生をああしてしまったことは、兄に結構暗い影を落とし続けるんじゃないかな、と思うんですよね…。

 

後味は悪くはないんです。物語としてはとても綺麗に終わって、問題提起をしている。その問題的が今の時代と相まってとても切なく感じる、そんな映画でした。

楽しい話ではないですが、興味深い話なので、ぜひ。