妻に先立たれた孤独な老人、オーヴェ。
職も失い、首を吊ることを決意するが、にぎやかな隣人が引っ越してきて、首を吊る機会を逃してしまう。
にぎやかな隣人に巻き込まれ、首を吊る機会を逃し続ける彼。隣人一家とのつながりもでき、ひとりぼっちでは、なくなっていく。
スウェーデンの映画で、北欧の映画らしい、ちょっとくもり空にしんみりと続いていく映画。ジャンルにコメディが入っているサイトもあるのですが、日本人が想像するコメディとはちょっと感覚が違う感じがします。
原作は小説なのもあってか、話がしっかり骨太でいい感じです。
老人は結構偏屈なのですが、引っ越してきた隣人一家の女性はイラン人なこともあるのか、あんまり気にせず。そんな女性に影響されるように、近所の人たちも彼を頼るようになります。
おじいちゃん、ひとりじゃなくなったね、とほっとする人、きっと多いはず。
休日の昼下がりにおすすめの映画です。
映画にもお国柄ってあるなあと思うんですが、やはり北欧は落ち着いた映画が多いなあと思います。この映画もイラン人女性とその子どもたちが賑やかな役なので、北欧人自体が結構落ち着いたタイプが多いんでしょうか。
個人的に好きなのが絵本を読むシーンで、老人は結構渋々棒読みするのですが、そこは子どもは素直。『そんな読み方じゃイヤ!』と素直に申告します。
そこでね、付き合ってくれるのが、がんばってくれるのがこの老人の良さですよ。本当はいい人なんじゃーん、って思って、それで隣人一家とのつながりもできて、本当ほっとする。
最初はあれも断る!これも断る!俺は首を吊るんだ!!!と頑なな爺さんなので嫌な爺さんだなあと思いましたが(最初がソレだからなこともあって)、爺さんいい人じゃーんってだんだんなるんですよね。
だからこそ、この結末が心にくるのかなあ、と思います。
結末は賛否両論あると思うんですが、私はこの結末結構好きです。爺さんらしいというか。この一家と過ごしたことは爺さんの宝物になったと思うし、最初の最初であの寂しさのまま爺さんの人生が終わってしまわなくてよかったな、と思います。
そんな感じで、ほんわかほろりと来る映画。日曜昼下がり向きだと思います、ぜひ。